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人間の首輪

(八年前の記事、記念として載せる)

日曜の午後、大勢の人がは家にいて気兼ね無く惰眠しているだろう。いつか呼ばれて何かを遣らせるかと心配かけ、僕はちょっと不機嫌だった。なかなか惰眠と言う贅沢感が味わえないようになって、 被害妄想かな。

何かを読もうとする時、電話が入った。細いアンテナを引き延ばすと、慌ている看護婦の声がそちらから伝えてきた。小さな携帯電話機はちょっと人間首輪のように僕を病院に縛り付け、決して好きな奴ではない。

「せんせい、家にいますか。速くいらしてお願い。当直先生の連絡が取れません。33週双子の妊婦が救急車で運ばれ、15分後着きます。車内の電話によって、頸管は全開し、破水していないが、羊膜が外から見えます。先日の超音波検査で、ツインAは1800グラム、ツインBは1500グラム。車内にYutoparを点滴で投薬。」

確かに近頃の診察した妊婦に双子妊娠という人がいないようだが、きっとどこかの先生が担当したケースだった。僕の当直ではなく、病院に行かなくても大丈夫だろう。けれども、双子の未熟児(2000グラム未満)で、やはり帝王切開の方が安全だ。もう羊膜が見えるから、急がなければいけない。行くのか、電話に出なかったらいいのに!

「今行くから、すぐオペの準備。ついたら、直接手術室へ。小児科先生も呼んでください。NICUに帝王切開から双子未熟児の出産する事をしらせてね。」 これは僕の本気か。

実際、家から病院まで10分くらいだけだ。まだ時間側に緩やかに出来るから、水一杯飲むと、ゆったり落ちつけた。そして着替えして、家からでた。

病院に到着した直後、救急車のサイレンは遠い所からどんどん近づいて、ついに救命室の前にその大騒音が急に消えてしまった。あちらこちらの手数と共に、妊婦が速く手術室に運ばれた。

手術の直前、必ずその双子の心博を一つ一つ確認。意地悪い考え方でもないが、胎児の死んでいた妊婦へオペの必要はない。もしかして、その死んでいたことを知らないまま、手術すると、大変なことになってしまった。余計なオペをしたのか、なんらの原因で手術中に胎児が死んだのか、何れでも、決して弁舌があるわけではないのだ。

皮膚をよく消毒して、傷を横に切った。昔の帝王切開の傷が縦になって、醜くなったし、合併症も多かった。時間を節約し、赤ちゃんをよい状況にさせるに、子宮を逆様な「T」文字のよに切開。アメリカの産婦人科学会の基準によって、緊急な帝王切開が行われてから、赤ちゃんを産出するまで、いわゆるI-D time、3分以内で完成する訳だ。

小児科先生は側に立って、血だらけの手から、一つずつ小さな柔らかい赤ちゃんを受け取った。

素朴にいえば、忙しかったが、総合病院で自分自身の存在は必要だ、と言う気がする。人間首輪の好き嫌いをもう一度考えてみると、まああ、その縛られた所に決まるだろう。
by drobs | 2006-07-28 23:27 | 診察